2010年11月06日

Maxon OD808 Reissue Mod その8(加筆)

OD808の基板(臓物)を一気に入れ替える過程で、クリッピングダイオードの組み合わせを色々とためしてみた結果をまとめてみます。以下の歪感と音質に関するコメントはあくまで筆者の個人的なものなので、同じ結果が得られるとは限らない事をご了承ください。また試奏にあたっての歪みのセッティングは「強くピッキングしたときにほどよく歪むセッティング」です。この回路の原理上「弱いピッキングでも強く歪むセッティング」にすると差は出難くなるというよりも、ほとんどわからなくなってしまいます。
試奏機材のストラトにのっているフレイリンBSは結構出力が低く、高音もそれほど出ませんので、オーバードライブをめいっぱいにしてもギンギンの歪にはなりません。しかし、高出力のハムバッカーがのったギターやオーバードライブの前にブースターを入れると、ダイオードでクリップする前の立ち上がり波形が直線的になってしまいますので、クリッピングダイオードによる音の差がわからなくなってしまいます。

試奏機材は以下のとうりです。

ギター:ストラト(ボディー:バッカス + ネック:ワーマス + PU:フレイリンBS)
アンプ:Cube30(スピーカーをセレッション(G10 Greenback/8)に換装)

クリッピングダイオードの組み合わせパターンは以下の4とおりです。

combination.jpg

ではでは、それぞれの組み合わせで、ダイオードをいろいろと変えてみたりした場合の歪感と音質に関するコメントで〜す。

[1.Normal]
最も一般的なダイオード2個

1-1
松下:MA150

OD808のオリジナル。ほどよいオーバードライブ感。これが基準になります。

1-2
日立:1SS108

検波用シリコン・ショットキ・バリアー・ダイオード、障壁電圧が低く、0.1Vで200mAくらい流れます。でも1Vで10mAくらいしかながれませんので、「こんなん歪むんやろかあ〜」と思って実験してみたら、やっぱり歪感はほとんど無く、単に抵抗をつないでるような感じでした。

[2.Zen Drive風]
Webに出ているZen Driveの回路にあるクリッピング回路。

2-1
FET = Fairchild:2N7000
Diode = Unizon:1N34A (ゲルマニューム)

この組み合わせはよろしいです。ジャリッとした歪感が減ってなめらかで粒立ちの良いオーバードライブ感が味わえます。加えて少しふくよかというかちょっとファットな感じの音です。この音質的特長は2N7000によるものか1N34Aによるものかは確かめなければなりません。

[3.Si-SB非対称 A]
シリコンダイオードにショットキ-バリア-ダイオードを直列につなぎ、片側のSBを2個にして波形が上下非対称に歪むようにしたものです。

3-1
Si = ローム:1SS133
SB = STMicro.:BAT41

「2N7000と1N34Aの組み合わせ」に似た歪感ですが、より滑らかです。ふくよかな感じはなく、バランス的に高音側によった音です。高音は「さわやか、スッキリ」系で、ジャリッとした感じはあまりありません。「線が細い」と感じる場合があり、若干好みが分かれるかもしれません。

3-2
Si = オムロン:1SR139-400
SB = STMicro.:BAT41

「2N7000と1N34Aの組み合わせ」「1S133とBAT41の組み合わせ」に似た歪感ですが、ふくよかな感じはなく、また高音側によった音でもなく、バランス的にも中庸です。滑らかさはそれほどでもなく、まあ、なんというか普通です。

[4.Si-SB非対称 B]
片側のシリコンダイオードにショットキ-バリア-ダイオード(またはシリコンダイオード)を直列につなぎ、もう片側はシリコンダイオードだけにして波形が上下非対称に歪むようにしたものです。

4-1
Si = Fairchild:UF4007
SB = Vishay:SBYV27-50


SBYV27もUF4007も共にいわゆる「ファースト・リカバリー・ダイオード」です。SBYVはデータシートには「Soft Recovery Ultrafast」とあり、「SoftなんかFastなんか、どっちかはっきりせんえ〜!」と言いたくなります。両方とも多分シリコンだと思いますが便宜上片側をSBと呼ぶことにします。違いは電圧電流特性で、データシートのグラフから読むという超大雑把な理解は以下のとうりです。

SBYV27:0.65V-0.01A,0.93V-0.1A,1.4V-0.45A
UF4007:0.63V-0.001A,0.7V-0.01A,1.4V-1.5A

要するにSBYVは1SS108と同じように抵抗分が大きく、あまり歪みません。そのわりには障壁電圧が高いという、なんかあまり優等生ではなさそうなダイオードです。
この組み合わせは、なんというかまあ、なんとも表現のしようがない、MA150に比べて若干滑らかではあるのだけれど、特にダイオードを三個つける意味がないような特徴の無い音です。要するに「整流用のファースト・リカバリーを使うくらいなら、スイッチング用で早いものを使った方が良い」という、ちゃんと考えれば普通にわかる極当たり前の結論のようです。がしかし、「何か新しい発見を期待して、挑戦してみた」という意味はあったのかもしれません。

[結果]
まあ、なんと言いますか、当たり前といえば当たり前に確認できただけなんですが、クリッピングダイオードを使った歪は、ダイオードの電圧電流特性で決まることが確認できたわけです。同じ型番でもメーカーが異なると電圧電流特性が異なることがあるので、ダイオードを選定する場合は、データシートを確認したほうがよさそうです。
リカバリータイムの早い遅いでそれほど大きな差は出なかったように思います。早いほうが滑らかな歪みになる傾向があるような気がしますが、あまり支配的ではなさそうです。
また、電圧電流特性の障壁電圧は重要なんですが、メーカーのデータシートの電圧電流特性のグラフにはには0.1Vあたりから0.6Vあたりまでの電圧の変化に対する電流の変化は記載されて無い場合が多く、ってことは、そのあたりの特性はメーカーの保証範囲外であるわけですが、これがどの程度音質に関わるかは実測して調べてみる値打ちはありそうです。しかしながら、結構手間がかかるので、そんなことするくらいなら試作して音を出して比べるほうが賢いかもしれません。障壁電圧を越えたところからの電流の立ち上がり方の重要度は予想どうりで、シリコンダイオードにショットキダイオードを直列につないで、立ち上がりを緩やかにすると、その分歪みも滑らかな音になり、歪みの「くせ」みたいなものはこの立ち上がりできまってくることが確認できました。障壁電圧以下の特性はダイオードを並列につなぐと微妙に緩やかになるらしいので、このあたりも調べてみると面白いかもしれません。
タグ:OD808
posted by tzk at 00:26| Comment(0) | OD808 Mod | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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